おっぱい、つまりお母さんの乳房そして母乳、その大切さってなんでしょう。
ひとつには、赤ちゃんが育つための栄養ですが、それだけだったら人工栄養(ミルク)
だけでも良いでしょう。現在の人工乳はバランス的にもだいぶ良いものができています。
しかしおっぱいの大切さとは、それだけではありません。
赤ちゃんの抵抗力(免疫力)は、生後3カ月ほどの間はまだ不完全であり、
その間重要なのが母乳、特に初乳です。初乳には、お母さんの持つ免疫グロブリンという
タンパクが非常に多く含まれており、この時期の赤ちゃんの特に腸内感染を予防しているのです。
初乳は分娩直後より1週間ほどの母乳のことで、この時期は、母乳の量はまだ少なく、
また、赤ちゃんに吸われると痛いので、あげないで過ごしてしまうことが多いようですが、
それは望ましいことではありません。
WHOとユニセフは母乳による育児成功のための共同声明を出しておりますが、その中では、
分娩後30分以内に赤ちゃんに母乳をあげられるように、と指導しております。
しかし日本では、人工乳の進歩と普及、衛生管理と抗生物質による対応で、
母乳は軽視されてきた感があります。
しかし、最近のニュースをにぎわしているように人工的な管理は完全なものではありません。
また、もうひとつ大切なことは、母乳をあげるということは親子の愛情と赤ちゃんの心を育てる
ということです。おっぱいをあげることにより、誰にもましてお母さんの赤ちゃんに対する
愛情は深まっていきます。
それにより母乳はさらにたくさんつくられるようになります。
そしてその愛情のこもった母乳が赤ちゃんの体と心をはぐくむのです。
生後間もない赤ちゃんの視覚が最も反応する形はなんだか知っていますか?四角?三角?
いいえ、まるい形です。赤ちゃんはまるい形をしたお母さんの顔を、
目を見ながらおっぱいを飲み、おっぱいに触れ、そしてお母さんのお腹にいたときと同じ心音を
聞きながら安心して育っていく、つまり母乳により、お腹だけでなく五感を満たされ、
心を満たされていくのです。
心を見失いがちな今、母乳の重要性を見直すべきではないでしょうか。
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