乳がん治療の進歩

乳がんは何千年もの間、不治の病とされてきました。しかし現在では、診断・治療の進歩により、乳がんは治しやすい病となってきています。さてそれでは乳がん治療はどのように変化してきたのでしょう。長い間乳がん治療の中心は外科的治療(手術)でしたが、現在では放射線治療、内分泌療法、化学療法なども確立されています。

手術法は、19世紀末から定型的乳房切除術(全乳房と胸筋、わきの下のリンパ腺を切除)が行われ術後患者さんの生存率はある程度改善されましたが、当初はまだまだ悲惨な結果でした。その後生存率は徐々に良くなり、最近では胸筋温存乳房切除術が最も多く施行されています。この変化には、診断法の進歩と一般の方々の乳がんに対する意識の向上が大きな影響を与えたと思われます。さらに最近では、乳房温存手術(乳房の形を残す部分的切除)も多く行われています。

放射線治療は19世紀末より行われ、改善・工夫がなされた現在ではその副作用・後遺症は非常に少なくなっています。以前、放射線照射は進行乳がんの治療が中心でしたが、現在では早期乳がんに対する乳房温存療法(温存手術と温存乳房への照射)にも用いられます。

内分泌療法は女性ホルモンの影響を受けている乳がんにおいて有効な方法で、1970年頃よりホルモン剤が使用されるようになり再発の予防・治療に貢献しています。

化学療法(抗癌剤)も再発の予防・治療に用いられ成果を上げていますが副作用がひとつの問題点です。現在さらに効果が良く副作用の少ない薬を創り出そうと努力がなされております。

これらが乳癌治療の中心となっていますが、その他、免疫療法や血管内治療、遺伝子治療などがあります。治療法がこれだけ多種多様となってきますと、もう一般の医者では限界で、乳癌専門の医者の出番となってきたわけです。こうして乳がん治療は進歩してきましたが、生存率に最も貢献したことは早期発見であったようです。



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